続・名盤を探しに行こう!/あれも聴かなくちゃ!これも聴きたし!
Vol.61(1999年05月号掲載)
この大阪での出来事は、スガシカオが大阪城ホールという、デカイ会場で
ライヴを演るので、どんなもんかなっ!と観に行った時ですね。
彼のバックバンド“Family Sugar”の面々と一緒に行った、とある店の
出来事です。
アリサ・フランクリンと言えば、この間のオバーマ就任式で唄ってました。
ちゃんと観なかったけど、TV画面にアリサが映っているのをなんとなく
眺めていました。
基本的にライヴ盤は好きじゃないので聴く機会が少ない。
今時、ライヴと言えばDVDでしょ。いつの間にか安価になっちゃって
(と言うか最初から安かったような・・・)、ライヴは映像を伴った方がいい
に決まっているから、ライヴ盤ってぇのは、もう殆どお役目御免状態。
昔は、映像ものは価格が高かったから、なかなか買えなかった。
ニール・ヤングの「RUST NEVER SLEEPS」のVHSなんか、輸入盤で
20,000円くらいして、買うのに相当勇気が必要だった。
そんな時代を過ごした者には隔世な感じがしますな~。
観られないライヴを想像すると言う事で、自身の想像力を豊かに出来るのに!
とは思ってしまうが、もう、そんな事も言っていられない時代なんでしょ。
ネットを通じて、観なくてもいいものまで観えちゃう!困った時代。
今の世の中、便利さが簡単に供与されて、それを当たり前のように使いこなす
ようになったけど、それとは裏腹に失ったモノが沢山有る!っつうのに、早く気
づいてよ!皆さん!
圧倒的な熱気を感じさせる70年代のライヴ盤の名作。
前号の続きっぽくなるが、ジミ・ヘンドリックスにしてもロリー・ギャラガー
にしてもライヴ盤が仲々捨て難い。
個人的には、フェイヴァリットなアーティストでもライヴ盤を頻繁に聴く。
という事がないので、両アーティストのライヴ盤は、ちょっとだけライヴ盤
の良さを見直す切っ掛けとなりそうだ。
そう言えば、昨年末からここで載り上げたボブ・ディランのライヴ盤や映画
「YEAR OF THE HORSE」観覧後のニール・ヤングの聴き方など、なんとなく
ライヴ盤付いている事は間違いないようだ。
それも60年代末から70年代初頭のものが多く、所謂ロックがロックらしく
輝いていたと言われる時代で、やっぱりロックはこの辺に落ち着くのかな~。
そんな中、先日大阪に行った際、地元のFM局の方々の隠れ家的飲み屋で、
これまた決定的なライヴ盤に再会してしまい、一緒に居たミュージシャン
連中と大盛り上がりしてしまった。
テーブルをドラム変わりにする者もいれば、空でギターやベイスを弾く者、
そしてバーナード・パーディ云々とミュージシャン談義に花を咲かせる者、
勿論一緒に唄っちゃうのは当たり前。
そんな大騒ぎを演出しちゃう位、皆に愛されているあんたはし幸福者だよ。
と思ったのがR&B界の大御所
アリサ・フランクリン。
そして彼女の名作ライヴ盤
「live at fillmore west」。
フィルモア・ウェストと言えば、あの当時のロックの震源地。数多くの
ロックの名演がここで生まれ語り継がれている訳だが、そこに黒人女性
シンガーNo.1の彼女が乗り込んでのパフォーマンスの模様を収録したのが、
このアルバムだ。
敵地に乗り込んだ感もあるこの場を、彼女はまず、代表曲「リスペクト」
で客の心を掴みかかる。そして、それに輪をかけるように、カバーで白人
のヒット曲のオンパレードをぶちかます訳。
「愛への讃歌」「明日に架ける橋」「エリナー・リグビー」、そしてブレッド
の「二人の架け橋」まで唄っちゃうサービス振り。
勿論、この後きっちりと自身のナンバーなどで、どっぷりとブラックしちゃて
帳尻を合わす訳なんだけど・・・・・。
まぁ、圧巻はレイ・チャールズが飛び入りする「Spirit in The Sky」の盛り
上がり辺りか。百聞は一見じゃなくて一聴云々。とにかく聴きなさい。
ゴスペルを土台にした、彼女のソウルフルでエモーショナルな唄っぷりを。
あんな風に唄えたら、さぞかし気持ちいいだろう。と思っちゃう程、アリサ
の唄いっぷりに脱帽しちゃうから。
日本のアーティストで、ライヴ盤を手に入れようと思ったのが
角松敏生。
あぁ~、この人、俺全然普段聴かないから、良く知らないんだけど、89年
に出たライヴ盤
「`89 8.26/MORE DESIRE」の「機関車」を聴いて、一発で
欲しくなりました。
小坂忠のオリジナル自体がそうだったように、実にソウルフルな唄いっぷりの
カバーに惹かれた訳で、ライヴ盤自体、角松が愛してやまないであろう、
まだ商業主義に犯されていない、70年代の日本のロックの名曲達をカバー
したもの。
聴く度に、鈴木茂をはじめとする錚々たる面々による、この一夜限りのライヴ
に立ち会えた幸運なオーディエンスを、羨ましいと思うのは俺だけだろうか。
ってな訳で、仲々観れないアーティストとイヴェントを楽しむには、ライヴ
盤ってありがたい。
でも、やっぱり、当たり前だけど“生”には敵いません。ハイ。
ARETHA FRANKLIN / ALTHA LIVE AT FILLMORE WEST (1971年度作品)
角松敏生 / TOSHIKI KADOMATSU SPECIAL LIVE `89.8.26(1989年度作品)